技術情報

 

 

 

目次

はじめに

 

酵素とは?

 

生物は酵素が無いと生きられません。

食物を食べるとアミラーゼという酵素によって消化され栄養として吸収されます。

こういった酵素を消化酵素といいます。

また、呼吸・運動といった身体の動きや成長などに作用する細胞分裂、 けがを治したりする酵素があります。

これを代謝酵素といいます。

 

酵素は微生物の「食べる」をサポート

 小さな微生物は、口も胃もありません。

 体の外に「消化酵素」を出し(体外酵素と言います)、とても小さく分解してから体内に取り込んでいます。

 (タンパク質 →アミノ酸:100 万分の 1)

酵素工場

 

微生物から酵素を生成する装置

① 現場に合わせて微生物を選定

② 培養タンク内で「酵素水」を生成

③ 注入または散布

 

 

微生物の選定

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微生物生成機 酵素工場

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微生物製剤 酵素の素

安全性  

バイオセイフティレベル1から選定(納豆菌、酵母菌などと同じ安全性) レベル1の菌叢が定着すると、レベル2(食中毒菌など)以上の栄養を奪います。 危険な微生物の発生を抑制します。

 

分解力

栄養摂取量の極端に多い(大食い)微生物を選定。 自然発生の微生物より大幅に効率的な生物処理となります。

 

成分対応

排水の内容に合わせた選定 「油脂が多い排水」には「好油性微生物」を選択します。

高濃度油脂排水を好んで分解します。

 

歴代酵素工場

1999 年:酵素工場 DF-1000(国際食品工業展へ出品)

2000 年:酵素工場 DF-1500、DF-2000

2002 年:酵素工場 DF-1500Ⅱ

2003 年:酵素工場 DF-700、DF-1200

2008 年:酵素工場 MS-1000

2015 年:酵素工場 MS-1000Ⅱ

用途(開発順)

① グリストラップ油脂分解

② 害虫削減、臭気削減

③ 配管閉塞の削減

④ 排水処理の高度化(環境省実証技術)

酵素の優位性

 

 

酵素の対応幅

酵素は生き物ではないので温度、PH、酸やアルカリ、塩分、殺菌剤等へ対応幅が広い

ph 微生物.png

 

 

酵素の即効性

酵素1秒当たり数万回の分解作用を持ちます。

  • 初期にn-hexを低分子BODに分解

  • その後、BOD分解に移行

  • 細分化した後、微生物が吸収

群馬TV n-hexグラフ.png

酵素水注入+強ばっ気による分解試験

n-hex190,000 → 1時間後5,900 (31分の1)

ハンバーグレストランのグリストラップ排水

排水処理への応用

 

 

生物処理は「自然発生の微生物」による分解力を設計計算の基礎としています。

 

高い能力の微生物」と「即効性の高い消化酵素」を前提にすると、生物処理は激変します。

環境省の実証

 

 

​技術の特徴

・高濃度油脂を短時間で分解

・下水道処理の槽容積で河川放流の水質

・高い分解力により、油脂フロスや余剰汚泥を殆ど出さない

 

​環境省の実証内容の詳細はこちら

実証情報

技術名称   :高濃度油脂含有排水処理技術

実証番号   :020-1402

製品名称   :酵素工場システム

製造メーカー :株式会社メイカム

020_1402_メイカム_有機性排水_縦_RGB.jpg

排水処理と微生物

 

 

「排水処理に微生物を添加」する方法は、従前からありました。

課題は、「効果がある」現場と「効果がない」現場の落差が大きいことです。

主な原因は、微生物の活動に必要な環境コントロールにあります。

 

薬剤

薬剤使用量と有機物除去量はほぼ正比例する。排水環境の影響は比較的少ない。

微生物

槽内増殖するため使用量と有機物除去量は正比例しない。

排水環境(温度、ph、酸素量、滞留時間、阻害要因など)によって大きく左右される。

    

微生物は環境が整うと乗数的に増えますが、環境が整わないと休眠します。

変動要因の種類が多く、現場や季節によって変動幅も大きいため、「効く」ときと「効かない」ときの差が大きくなります。

 

この「排水環境のコントロール」を容易にしたのが、酵素工場システムです。

微生物環境のコントロール

 

微生物が活動を開始し①の酵素排出をするには、温度、ph、酸素などの環境が整う必要があります。

 

微生物

①酵素排出

 

 

事前の環境コントロール

酵素分解

②体内吸収

微生物

③分解・排出

H²O,CO²

 

・排水処理槽の中は環境コントロールが難しいので、培養タンク内で“酵素水”を培養します。

・酵素水の「濃度」「生成量」「注入タイミング」は、設計計算(排水量、濃度、槽容積、ばっ気量など)により決定され、自動注入されます。 

 

 

槽内での環境コントロール

 

・酵素水とは、選定微生物と消化酵素の複合水です。

 酵素は生き物ではないため環境変化に強く、槽内で微生物培養を促進する導火線となります。

排水処理施設に「酵素工場システム」を追加

 それだけで分解力が数倍に向上

酵素工場

汚泥培養槽

酵素+微生物

原水槽

油脂分解槽

​流調槽

曝気槽

沈殿槽

 

 

原水槽から分解開始

 

一般に生物分解は「曝気槽」のみです。

当システムでは原水槽から分解開始。ほぼ全槽で生物分解。

原水槽でも引き抜き不要にします。油脂固着による機器類の動作不良を防止します。

 

 

原水槽から分解開始

有機物100㎏/日分解に必要な曝気槽容積

酵素工場システム    :50㎥

標準活性汚泥法で計算  :167㎥

長時間曝気法で計算   :333㎥

 

一般の油脂分離槽が油脂分解槽となります。

超高濃度油脂も分解。引き抜き処分費用を大幅に削減します。

※油脂は分子量が多いので、出来るだけ前段から分解を開始します。後段の負荷が大幅に減少します。

 

 

 

汚泥を再利用

 

一般では引抜く汚泥を「微生物の栄養源」に活用。

それにより莫大に増えた微生物が水質浄化を加速。

 

 

 

分解量の増減が簡便

曝気量と製剤量の可変で、分解量も可変します。

繁忙期と閑散期の負荷変動に対応します。

増産への対応方法

<生産側>

・清掃時の節水などで、排水量を減らす

・固形物の流出を減らす

 ※肉片等は原水濃度を大幅に上昇させます。

 

<排水処理> 低コスト順

①酵素水の増量  ②曝気の追加 ③槽の増設

※負荷計算:排水量×濃度=有機物重量

 

 

 

メンテナンスの簡素化

 

 

汚泥管理:全量返送となります。MLSSは自動調されます。

ph管理 :殆どの施設で不要です。

槽の清掃:酵素の剥離作用で油脂固着が激減、水洗いで槽内は簡単に清掃可能です。

臭気の大幅減:一般では堆積し悪臭を放つ槽の殆どを好気分解します。臭気は大幅に低減します。

管理担当者や管理会社から「管理時間が短時間で済む」と好評です。

 

<業務区分> コスト削減のため、排水処理の新設は下記の区分としています。

メイカム:設計計算、図面、FRP槽などの制作、機器納入、立会、設置後の試運転調整

ゼネコン:施工(土木、躯体、配管、配線)

多様な効果

 

グリストラップ

 

 

悪臭とゴキブリの巣となり、誰も開けたがりません。

清掃作業は、離職原因となる事があります。

 

「酵素工場」で、油脂分解と悪臭激減で清掃を簡素化します。

 

 

メンテナンスの簡素化

 

・排水の流入する時間帯(昼間)は油脂分離

・排水の流入しない時間帯(夜間)は油脂分解

 ※夜間のみの短時間分解(4~8時間)のため、酵素の即効性を活用

その日の油は、翌朝までに分解。溜まりません!

導入前

油分の堆積と底にはヘドロが溜まり、

悪臭を放っていました。

 

導入後

油分もヘドロも分解されてサラサラになり

悪臭もなくなりました。

清掃はカゴの固形物除去のみで簡素化されます。

グリストラップ(昼間).jpg

配管閉塞の防止

 

酵素水の浸透した箇所から分解、剥離が起こります。

 

注)

導入後1~2週間で堆積油脂が一挙にはがれ、閉塞 を起こす場合があります。その後は、閉塞が激減します。

導入前

導入後

配管内.png

害虫削減

 

 

酵素水を厨房に散布します。特に、機器の下や清掃が届かない箇所に散布します。

チャバネゴキブリ.jpg

 

チャバネゴキブリ(Blattella germanica)

殺虫剤に対する抵抗性の獲得が著しく、ゴキブリの卵は卵鞘という外殻に覆われており、一般的に卵に薬剤は効かないと言われます。

チョウバエ.jpg
チョウバエ 幼虫.jpg

チョウバエ類(Psychodidae)

幼虫はわずかの水溜りでも成育することが可能で、成虫は5~6日の寿命ですが、その間に20~100個もの卵を産み、2週程度で成虫になります。細菌の運搬者でもあります。

酵素工場を導入されたお客様より「最近ゴキブリなどをあまり見かけなくなった」という感想を多く頂いています。

これは、餌となる有機物の蓄積を、酵素工場で徹底して分解することによって、餌が極端に減少したためと考えられます。

 

※場内発生の衛生害虫に有効です。飛来性の害虫などには、別途対策が必要です

臭気削減

 

 

原水槽、グリストラップ、汚泥貯留槽など、堆積箇所から悪臭が発生します。

原因と対処法は、以下となります。

 

 

微生物の分解には、主に2種類あります。

好気分解は、水と二酸化炭素の発生:無臭

嫌気分解は、硫化水素も発生:悪臭

好気分解

有機物

酸素

水、二酸化炭素

有機物

嫌気分解

硫化水素

水、二酸化炭素

 

 

好気分解とするために

・有機物量に比例した酵素量(酵素水の濃度と量)の注入

・有機物量に比例した酸素量(ばっ気量)の投入

 

※油脂の好気分解には、タンパク質分解の約3倍の酸素が必要です。

 油脂は酸素不足による嫌気状態となりやすく、硫化水素が発生しやすくなります。

技術詳細

 

有機物分解

 

 

・有機物の分解とはミクロの世界では化学反応です。この反応は酵素の触媒作用で起こります。

有機物分解.png

 

・分解に必要な要素は、「酵素」と「酸素」です。

一般設計との計算比較

 
一般設計比較.png

※1油脂を引き抜かないので、(原水―放流)のn-hex全量を生物分解

※2余剰汚泥を出さないので、(原水―放流)のBOD全量を生物分解

※3油脂分解槽にてn-hexを低分子BOD化します。原水BOD+n-hex由来のBODとの合計となります。油脂も余剰汚泥も出さないので、一般設計より大幅に分解力が必要となります。

酸素量の算定

 
酸素量の算定.png

・上記例では、油脂分解には蛋白質分解の2.7倍の酸素量が必要です。

 ※一般の排水処理においては「油脂は分解しない」との前提を取っております。

 よって油脂分解の酸素量に関する一般式はありません。弊社独自の算定です。

 

 

化学的必要量

・BOD分解の曝気量+n-hex分解の曝気量で算出

 

 

物理的必要量

・グリストラップ等の浮上油分解は、分解の化学的必要量+浮上油脂を水中に引き込む物理的必要量

酵素水の投入

 

 

酵素水(酵素+微生物)

・酵素:即効性、高濃度が得意だが生成量は限られている(酵素工場での生成量)。

・微生物:即効性は無いが、処理槽内での培養によって酵素の再生産を行う。

 

 

投入箇所

・油脂分離槽、汚泥貯留槽など(高濃度ほど高効率) 

・排水処理の上流(処理時間の確保)

 

 

負荷変動への対応(処理能力の可変)

・閑散期、繁忙期などの負荷変動への対応は、酵素水の生成量を調整。※1分間程度のボタン操作

・殺菌剤等で、菌叢が弱った場合。酵素水の生成量を増やします。回復したら生成量を戻します。

 槽内の菌が減っても、酵素水投入からの菌叢回復が非常に速い。

酵素水の既存処理槽内への投入による変化

 

 

変化順

①n-hexの低下 ②溶存酸素の増加 ③BOD,CODの濃度低下 ④SSの濃度低下

 

【上記解説】

①②

排水中の蓄積しているn-hexの分解が進む間は酸素が大量に必要です。  

終了すると流入水のn-hex分解に必要な酸素量だけになります。

※排水中には、溶けている油脂と溶けずに漂っている油脂(後に沈殿槽に浮上する)が存在。

 

③  

酸素量が回復②することで③BOD、CODが低下します。

 

④  

③BOD、CODが低下すると排水中の溶解性有機物(栄養源)が不足しますので、固形分(SS)中の有機物からの栄養摂取に入ります。この時にMLSSが低下します。

この後は、MLSSの安定する位置が決まります。※下記「MLSSの変動」参照

変化順

・微生物は排水中に溶けた有機物を先に消費、その後に溶けていない有機物(MLSS等)を消費します。

・施設の処理能力と有機物負荷のバランスを自然にとります。

<MLSSの増減> 

MLSSは大量の有機物を含んでいるため、

①微生物分解されるとMLSSが減り微生物が増える

②MLSSが減ることで栄養源が不足し、微生物が減る

③微生物が減ると分解力が不足し、MLSSが増える  ①に戻る

十分な菌量がある場合、上記を繰り返します。一定の幅でMLSSは安定します

・負荷量に対して、処理能力が高いほど低めに安定し、処理能力が低いと高めに安定します。

・負荷量に対する処理能力は、①槽容積 ②曝気量 ③微生物量(分解酵素量)に比例します。

 

 

既存汚泥

 

・汚泥貯留槽に嫌気で蓄積した汚泥や各槽の隅に沈殿堆積した汚泥は、長期嫌気状態の為、有機酸に包まれ石化している場合があります。

 細粒化したSS分であっても、微生物の栄養源としての再利用は困難です。

 曝気槽に返送しても分解は困難ですが、担体のような微生物の定着場所としての利用は可能です。

 

・返送の場合は、有用な好気菌を定着させた後に行います。曝気槽への悪影響を低減します。

 

・弊社菌叢の定着で槽内壁からの剥離等もありますが、散気管の選定や配置の見直しも有効です。

 (嫌気の箇所を無くす)

<油脂分解の槽内フロー>

 グリストラップや原水槽など高濃度油脂堆積の槽内

 
油脂分解の仕組み.png

※1)

殆どの場合、融点より低い温度でもあり大きな塊となります。強い曝気により細粒化し、油脂と微生物、酵素を含むエマルジョン状態をつくります。

   

高濃度の場合、分解限度は溶解飽和量(油脂の性質、温度等による。屋外槽で槽容積の5%程度)

同時に油脂分解も行っていますので、飽和量に余裕ができると溶け込みます。

飽和量を超過した分、または曝気から逃れて浮上したままの油脂が、泡を含んだムース状やオイルボールとなります。これを放置すると減り始める場合もあります。増える場合は別途、対策を行います。

このムースやオイルボールは、微生物が常在菌化すると減る傾向にあります。

※2)

理論上、接触面積が100倍になった場合、分解スピードは100倍になります。

※3)

酵素水(微生物+消化酵素)が導火線となり槽内で微生物と消化酵素が再生産されます。

 

 

油脂分解の設計計算

n-hex量の100%をBODに換算し原水BODと合算、合計BOD量の100%を分解

①油脂汚泥や余剰汚泥を発生させず、分解処理する設計計算。

②酸素量計算は、n-hex全量とBOD全量の必要酸素量。